リキッドバイオプシー
血液等の体液を用いて診断や治療法の選択や治療効果の予測等を行う手法をリキッドバイオプシーといい、従来の組織生検に比べて体に負担をかけることなく、くり返し行うことができる解析として近年注目されています。CPMの「リキッドバイオプシー」では、血液を用いて、がん遺伝子パネル解析やデジタルPCRを用いた解析を行います。組織生検では採取したがんの情報しか得られないのに対し、リキッドバイオプシーでは全身での遺伝子変異をリアルタイムに把握することができます。
特長
- 日本国内完結型の受託解析サービス
- Ion GeneStudio S5 Prime System および NovaSeq 6000 System をプラットフォームとした次世代シーケンス解析
- デジタルPCRを用いた低価格で高感度のモニタリング
- 非侵襲性でリアルタイムな遺伝子変異検出
解析内容
研究目的に合わせて「Oncomine Pan-Cancerパネル」、「TSO500パネル」、「デジタルPCR法」より選択いただけます。
ご提供いただいたサンプル(血漿もしくは血液)より、がん組織から遊離したDNA/RNA(cell-free DNA/RNA;cfTNA)※を抽出し、がん遺伝子パネルOncomine Pan-Cancer Cell-Free Assay(Thermo Fisher Scientific)を用いて遺伝子変異を検出します。
※サンプルが血漿の場合はcfTNA、血液の場合はcfDNAのみ
- 核酸抽出
- ・血液サンプルから血漿を分離後、核酸(血漿の場合はcfTNA、血液の場合はcfDNA)を抽出し、品質を確認します。
- ライブラリー
作製 - ・がん遺伝子パネルOncomine Pan-Cancer Cell-Free Assay(Thermo Fisher Scientific)を用いてシーケンスライブラリーを作製します。
- シーケンシング
- ・次世代シーケンサーIon GeneStudio S5 Prime System(Thermo Fisher Scientific)を用いて、塩基配列を取得します。
- データ解析
- ・取得した塩基配列を用いて、遺伝子変異情報を解析します。
標的遺伝子
900以上の変異箇所(ホットスポット、挿入・欠失等)やがん抑制遺伝子を含む全52遺伝子
ホットスポット遺伝子 |
がん抑制 | コピー数 |
融合遺伝子 |
METエキソン |
||
---|---|---|---|---|---|---|
AKT1 |
FGFR3 |
MTOR |
APC |
CCND1 |
ALK |
MET |
ALK |
FGFR4 |
NRAS |
FBXW7 |
CCND2 |
BRAF |
|
AR |
FLT3 |
NTRK1 |
PTEN |
CCND3 |
ERG |
|
ARAF |
GNA11 |
NTRK3 |
TP53 |
CDK4 |
ETV1 |
|
BRAF |
GNAQ |
PDGFRA |
CDK6 |
FGFR1 |
||
CHEK2 |
GNAS |
PIK3CA |
EGFR |
FGFR2 |
||
CTNNB1 |
HRAS |
RAF1 |
ERBB2 |
FGFR3 |
||
DDR2 |
IDH1 |
RET |
FGFR1 |
MET |
||
EGFR |
IDH2 |
ROS1 |
FGFR2 |
NTRK1 |
||
ERBB2 |
KIT |
SF3B1 |
FGFR3 |
NTRK3 |
||
ERBB3 |
KRAS |
SMAD4 |
MET |
RET |
||
ESR1 |
MAP2K1 |
SMO |
MYC |
ROS1 |
||
FGFR1 |
MAP2K2 |
|||||
FGFR2 |
MET |
サンプルが「血液」の場合、検出可能な遺伝子変異 |
cfRNAを用いて検出 |
サンプルが「血漿」の場合、検出可能な遺伝子変異 |
---|
- 解析の利用例
- がん治療効果のモニタリング
- がん再発の早期検出
- がんの遺伝子変異情報に基づいた薬剤情報の取得 等
バフィーコートを用いた偽陽性確認
血漿や血液を用いたパネル解析では、クローン性造血(CHIP: clonal hematopoiesis of indeterminate potential)に由来する変異も、がん由来の遺伝子変異と同様に検出される場合があります(偽陽性)。バフィーコートを用いて同様にパネル解析を実施することで、検出された変異がクローン性造血に由来する変異である可能性を確認することができます。偽陽性確認をご希望の場合は、同一症例のバフィーコートによる解析を別途ご依頼ください。
TruSight Oncology(TSO)500 ctDNAパネルを用いたリキッドバイオプシーでは、血液検体から523遺伝子を対象にした包括的ゲノムプロファイリングを行うことができます。血漿中のセルフリーDNAを抽出し、次世代シーケンサーNovaSeq 6000 System(Illumina)を用いて、1塩基変異(SNV)、挿入・欠失(Indel)、コピー数多型(CNV)および融合遺伝子(Fusion gene)を解析し、腫瘍免疫バイオマーカーとなるマイクロサテライト不安定性(MSI)および腫瘍変異負荷(TMB)の測定を行います。さらに、DRAGEN TSO 500 ctDNA Analysis Softwareにより、データ解析およびレポート作成を迅速に行います。
主要ガイドラインや臨床試験に準じたバイオマーカーを含んでいるため、個々のバイオマーカー解析を複数実施することなく、さまざまながん種に関連する523遺伝子および腫瘍免疫バイオマーカーを包括的に解析することができます。
※TSO500パネルでは、ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織などの腫瘍検体を用いた解析も可能です。
- 詳細
- ● 準備中 ●
ご提供いただいたサンプル(血漿もしくは血液)より抽出したcfDNAを用い、デジタルPCR(Droplet Digital PCR:ddPCR)により対象の遺伝子変異を検出します。対象の遺伝子変異については、お問い合わせください。
- 核酸抽出
- ・血液サンプルから血漿を分離後、核酸(cfDNA)を抽出し、品質を確認します。
- ddPCR
- ・任意の遺伝子変異に対応したプロープを用いて、QX200 Droplet Digital PCR System(Bio-Rad Laboratories)によるddPCRを実施します。
- データ解析
- ・ddPCRの結果を解析して標的となる遺伝子変異の有無を判定します。
ご提供いただくサンプル
以下の条件を満たさない場合や、ウイルス等による感染性が疑われるサンプルの場合は事前にご相談ください。弊社にて品質確認を実施し、品質を満たさない場合はご連絡いたします。
詳細を見る
解析項目 | 材料 | 必要量 | 保存容器 | 保存方法 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|
Oncomine Pan-Cancerパネル |
血漿※ | 5 mL×2本 | 5 mLチューブ | -80℃ | |
バフィーコート※ | 血漿分離時に採取した全量 | 2 mLチューブ | -80℃ | 偽陽性確認用 | |
cfTNA/DNA | 液量 22.5 µL以上、 濃度 2.0 ng/µL以上 (核酸量 45 ng以上) |
1.5~2 mL 低吸着チューブ (可能であれば) |
-80℃ | ||
gDNA | 25~50 µL程度 濃度 10.0 ng/µL以上 (核酸量 250 ng以上) |
-80℃ | |||
TSO500パネル | 全血 | 7.5 mL×4本 | リキッドバイオプシー専用採血管 | 18℃~25℃(5日) | |
血漿 | 5 mL×3本 | 5 mLバイアルチューブ | -80℃ | ||
バフィーコート | 採取した全量 | 2 mLバイアルチューブ | -80℃ | 偽陽性確認用 | |
デジタルPCR法 | 血漿※ | 5 mL×2本 | 5 mLチューブ | -80℃ | |
バフィーコート※ | 血漿分離時に採取した全量 | 2 mLチューブ | -80℃ | 偽陽性確認用 | |
cfTNA/DNA | 液量 22.5 µL以上、 濃度 2.0 ng/µL以上 (核酸量 45 ng以上) |
1.5~2 mL 低吸着チューブ (可能であれば) |
-80℃ | ||
gDNA | 25~50 µL程度 濃度 10.0 ng/µL以上 (核酸量 250 ng以上) |
-80℃ |
※サンプル採取方法は「解析依頼書」をご確認ください。
価格・納期
ご依頼の内容により異なりますので、お問い合わせください。
納品物
以下のデータを納品いたします。
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Oncomine Pan-Cancer パネル |
解析結果報告書 シーケンスデータ(Fastq) マッピングデータ(BAMファイル) 納品方法:以下のいずれか Ion reporter(Thermo Fisher Scientific)へアップロード USBメモリもしくはHDD(別途費用をいただきます) クラウド ※シーケンスデータおよびマッピングデータはUSBメモリ/HDDもしくはクラウドのみ |
---|---|
デジタルPCR法 | 解析結果報告書 生データ(.qlpファイル) 解析データ(CSVファイル) 納品方法:USBメモリ(またはHDD、別途費用をいただきます) |
※TSO500パネルは準備中
ご依頼方法
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ご依頼
「解析依頼書」および別紙「サンプルリスト」に必要事項をご記入いただき、担当販売代理店までご提出ください。
「解析依頼書」はこちらからダウンロードいただけます。
※ご依頼の際は、「解析依頼書」に添付の「解析サービスのご利用にあたり」を必ずご確認ください。
サンプルのご送付
解析に必要なサンプルを、下記の送付先までご送付ください。月~金曜日(祝祭日を除く)着にて手配をお願いいたします。解析内容により、送付日の調整をさせていただく場合がございます。
- サンプルには、解析依頼書別紙「サンプルリスト」を同梱してください。
- 各サンプルチューブに、解析依頼書別紙「サンプルリスト」に記入したサンプル番号もしくはサンプル名を明記してください。
- サンプルは、以下の輸送条件にて着払いでご送付ください。
- 専用業者による輸送も承っております。ご希望の場合は事前にご相談ください。
サンプルの保存条件 | 輸送条件 |
---|---|
室温(18℃~25℃) | 通常便 ※専用採血管は立てた状態で梱包し、ワレモノ、天地無用にてご送付ください。 |
冷凍(-20℃)、超冷凍(-80℃) | ドライアイス梱包・冷凍便 |
詳細は「受託解析サービス ご利用案内」をご参照ください。
留意事項
- 倫理審査を要する研究に本サービスの結果をご利用される場合は、ご所属機関における倫理審査委員会の承認を得たうえでご依頼ください。詳細は、「ヒトゲノム・遺伝子解析受託サービスについて」をご確認ください。
- サンプルにウイルス等による感染を疑うべき事情がある場合は、必ず弊社にご相談ください。安全の確認がとれない場合には、サービスの提供ができない場合がありますので、予めご了承ください。
- 個人情報に関しては、個人が特定できないよう匿名化したうえでご提供ください。
- お客様より提供いただいたサンプルおよび解析データ等は、業務終了後30日間保管し、当該期間の経過後に廃棄いたします。返却をご希望の場合は、事前にご相談ください。